2021-12-31から1日間の記事一覧
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……あなたは、愛するという感情がどうやって起こるのだろうかとたずねる。彼女はあなたに答える。「おそらく、世界のロジックの突然の裂け目から」彼女は言う。「たとえばある誤謬から」彼女は言う。「意志からは絶対に起こらない」(マルグリット・デュラス…
まだ全体の4分の1までしか読んでいないにもかかわらず、わたしはこの本の言いたいことがわかるような気がしたので、覚書のように書いてみます。あらかじめ断っておきますが、このテーマについて、何度も何度も書き直し反復します。 マイノリティとマジョリテ…
作家で映画監督のマルグリット・デュラス(1914~1996)は、結婚して出産後の29歳のとき『あつかましき人々』を発表し、82歳で死去するまで、小説やエッセイを含む著作は20冊以上、映画は15本以上製作しています。本人も言っていますが、まさに「病的」です…
ジョン・アーヴィング原作の映画『ガープの世界(1982)』のあらすじと登場人物を簡単に紹介する。主人公ガープとその母親ジェニー、ガープの妻ヘレン、元フットボール選手のロバータである。 *** 学生時代のガープが自伝小説を書こうとしたとき、看護師…
ウィキペディアの「レズビアンの作家一覧」に、カリン・ボイエ(1900–1941)があり、『カロカイン 国家と密告の自白剤』があったので、さっそく図書館で借りて読みました。本の裏表紙にはこう書かれています。 地球的規模の核戦争後、人びとは、汚染された地…
2016年の日記に、佐藤亜有子が亡くなった、と書いてあり、わたしは自分で書いたものに自分で驚きました。佐藤亜有子という作家も知らなければ、彼女が亡くなったことすら知りませんでした。なぜ無名の作家が死亡した件を日記につけていたのでしょうか。5年前…
詩の言葉はとても光り、ときには胸にひどく刺さりますが、小説となるとさほど光らない人がいます。中島みゆきです。わたしは40年くらい(最初はたぶん小4)彼女のファンでして、深夜放送も毎週欠かさず聴いていました。大学受験の年になると、彼女は深夜ラ…
『ハンナ・アーレント(2013)』が岩波ホールで公開され、インディペンデントシアターだけに珍しくヒットしました。わたしも公開時に劇場で観て、DVDをさっそく買って何度も観ました。 内容はハンナ・アーレントがエルサレムでのアイヒマン裁判をすべて傍聴…
長崎の原爆を題材とした映画や文学はないものかと思い、探してみると黒澤明『八月の狂詩曲(1991)』がありました。原作は村田喜代子『鍋の中(1987)』です。私が無知でした。 広島に原爆が落とされたのは8月6日、長崎は8月9日でした。たった3日とはいえ、…
私が20~30代のころ、新宿二丁目に行きつけのバーがありました。あるとき偶然、宇梶剛士さんが店に入ってきました。宇梶さんはマスターに電話して事前に確認し(お客さんが少ないときに店にやってきた)、バーのカウンターの隅っこで、大きな図体を縮こませ…
詳細は省きますが、「平和の少女像」などを展示した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展『表現の不自由展・その後』が、開催から3日間で中止に追い込まれました。いまから3年前の出来事です。「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」と書かれた…
フランスの女性彫刻家カミーユ・クローデル(1864~1943)は、ロダンの弟子であり愛人であり、また詩人ポール・クローデルの姉でした。彼女はたぐいまれな才能と美貌に恵まれ、ロダンとポール・クローデルという二人の芸術家に深く霊感を与えながら、自らは…