クイア・プラクティス

ノン・ヘテロの身体障害者。雑文書き。観て読んで考えて書く。それが反応。

発狂文学

本の花束(14)カリン・ボイエ『カロカイン』(2008年、みすず書房)

ウィキペディアの「レズビアンの作家一覧」に、カリン・ボイエ(1900–1941)があり、『カロカイン 国家と密告の自白剤』があったので、さっそく図書館で借りて読みました。本の裏表紙にはこう書かれています。 地球的規模の核戦争後、人びとは、汚染された地…

本の花束(13)佐藤亜有子『花々の墓標』(ヘルスワーク協会、2008年)

2016年の日記に、佐藤亜有子が亡くなった、と書いてあり、わたしは自分で書いたものに自分で驚きました。佐藤亜有子という作家も知らなければ、彼女が亡くなったことすら知りませんでした。なぜ無名の作家が死亡した件を日記につけていたのでしょうか。5年前…

本の花束(10)福田須磨子『われなお生きてあり』(1977年、ちくま文庫)

長崎の原爆を題材とした映画や文学はないものかと思い、探してみると黒澤明『八月の狂詩曲(1991)』がありました。原作は村田喜代子『鍋の中(1987)』です。私が無知でした。 広島に原爆が落とされたのは8月6日、長崎は8月9日でした。たった3日とはいえ、…

本の花束(4)大田洋子『屍の街・半人間』(1995年、講談社文芸文庫)

原爆をテーマにした物語は、こうの史代『この世界の片隅に(2011)』が出版され、同年にテレビドラマ化され、2016年には劇場アニメとして公開されました。わたしも劇場に足を運びました。作品はひじょうに素晴らしいのですが、一部の「感傷的(ノスタルジー…

本の花束(1)アンナ・ラングフュス『砂の荷物(1974、晶文社)』

ネットフリックスのオリジナルドキュメンタリー『最期の日々:生存者が語るホロコースト(1998)』はすでに観ましたが、ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅政策についての9時間半に及ぶ証言映画『ショア(SHOAH、1985、フランス)』は、私はまだ観ておりませ…